矢沢は173cmと上背はないものの、運動能力の高さは抜群で、投手としては140キロ台後半のスピード、打者としては軽々とスタンドへ運ぶパワーとスピードを備えている。どちらかに絞るのが本当に惜しい素材であり、来年のドラフトでは大谷以来となる二刀流論争が再び巻き起こることも考えられるだろう。

 昨年はコロナ禍で大学、社会人も公式戦が少なかったが、その鬱憤を晴らすかのようにこの春活躍を見せている選手が多い。冒頭で触れた根尾、藤原、吉田などプロでプレーしている選手たちに刺激を与える意味でも、同世代の選手が更にドラフト戦線に浮上してくることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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