──他方、政府は原発の新増設やリプレース(建て替え)にも言及していません。再生エネルギーと原発の「両にらみ」にも見えます。

「2050年」の前提として、30年の再生可能エネルギーによる発電が50%を占めるようにしなければなりません。この決断をする兆候が今は感じられません。今夏に作るエネルギー基本計画でも、その辺は明確にされないのでは。

■早い決断で一気に進む

──自民党がブレーキをかけている? 先日は茨城県連が秋本さんの講演に反対しました。

 当初に比べて、自民党はずいぶん変わりました。初当選した12年のころは、「変人扱い」されました。でも、16年3月には「再生可能エネルギー普及拡大議員連盟」(現事務局長は秋本氏)を設立しました。当初の参加議員は20人ほどでしたが、現在は100人を超えました。菅総理や麻生太郎副総理、二階俊博幹事長らにも顧問になっていただいています。原発推進の議連と掛け持ちの人も少なくありませんが、そうした方から「バランスを取りながら原発の比率を下げていく」との声も聞こえます。

──菅首相の任期中に「原発ゼロ」宣言は可能でしょうか?

 日本国内の再エネの価格(1キロワット時あたり)はまだ2桁(10円超)です。もう1、2年で1桁になってくる。そのインパクトは大きく、世論もだいぶ変わります。決断のときも近づきます。

 黙っていても原発はフェードアウト(退場)していきます。ただ、それを待っているのではだめ。もっと早く意思決定をすれば、一気に進みます。早い決断が重要です。(構成/ジャーナリスト・菅沼栄一郎)

AERA 2021年4月26日号