黒川博行・作家 (c)朝日新聞社
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※写真はイメージです (GettyImages)
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 ギャンブル好きで知られる直木賞作家・黒川博行氏の連載『出たとこ勝負』。今回は、親指シフトについて。

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 はじめにいうと、わたし、パソコンのことはまったくといっていいほど分からない。ただ、親指シフトというガラパゴスなキーボードを使って文章を書き、それを添付文書にして担当編集者にメールで送っている。ユーチューブとグーグルはパソコンマスターのMさんがセットしてくれたので、そのアイコンをクリックするくらいのことはできる。

 と、ここまでが前置きで──、パソコンの調子がおかしくなった。電源を入れて立ち上がるまでに四、五分はかかるし、文章を書いていても、ユーチューブを見ていても、しょっちゅうフリーズし、誤作動もする。

 こいつは寿命やな──。Mさんに相談すると、『ウィンドウズ10』搭載のパソコンを買うか、といわれた(壊れたパソコンは『ウィンドウズ7』、もう一台、ズームでオンライン会議をしているパソコンが『ウィンドウズ8』搭載だが、『8』のインターフェイスは、わたしには使いにくい)。

 で、『ウィンドウズ10』を搭載している富士通の中古パソコンを五万円で買った(なぜ中古か……。現行型のパソコンには親指シフトキーボード用のPS2ポートが付いていないから)。

 そんなこんなで壊れかけのパソコンを騙し騙し使いつつ、“新しい中古”パソコンが送られてきた。ディスプレー画面が大きく、立ち上がりも早い。さっそく、Mさんに親指シフトが使えるようお願いしたのだが……。

 親指シフトキーボードはうまく作動しなかった。頻繁に使う『終了』や『移動』、『単語登録』といった文書作成と編集のためのキーが反応しない。Mさんは悪戦苦闘していたが、その作動不良は日本語入力ソフト『ジャパニスト2003』のデバイスドライバが『ウィンドウズ10』を制御できていないのが原因だろうと分かった。幸い『ジャパニスト2003』には後継の『ジャパニスト10』があり、これが『ウィンドウズ10』に対応しているらしい。

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