作家でジャーナリストの山田順さんもこう話す。
「『パスポートがない人は雇わない』という企業も出てくるでしょうし、店に入れない、電車や航空機に乗れないなど、不利益を被る人が出てくる恐れがある。それでも、経済活動や公共の利益が優先されてしまうのでしょう。今年の夏ぐらいから、各国でそんな動きになるとみています」
ワクチンパスポート導入を検討する豪州の東部ブリスベン在住の医師・高尾康端さんも、運用面での問題点を指摘する。
「どのワクチンまで対象に含むのか、ワクチンの有効期限をどう考えるのかなど、わからないことが多い。国際機関や政府が統一的に管理できるかが課題になりそうです」
確かに、パスポートの基準は各国・地域でばらばら。中国やロシアのワクチンを同様に扱うのかも疑問が残る。ワクチンの有効期間をどう評価し、どれくらいの期間でパスポートを「失効」させるかも不透明だ。前述のイスラエルの緑のパスは、有効期間が半年だという。
課題は山積みだが、この流れは止まりそうにない。今から議論を重ねておくべきだろう。(本誌・浅井秀樹)
※週刊朝日 2021年5月7-14日合併号