東尾修
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好調阪神の打線を引っ張るマルテ (c)朝日新聞社
好調阪神の打線を引っ張るマルテ (c)朝日新聞社

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、新型コロナウイルスの影響から戦力の補強が難しい今季、優勝争いまで生き残る球団について語る。

【写真】好調阪神の打線を引っ張るマルテ

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 うーん、というべきか。DeNAになかなか浮上の兆しが見えない。新型コロナウイルスによる入国の問題で、合流が遅れていたオースティンとソトがようやく加わったが、チーム力全体として上がっているという感じはしない。試合の中で2人がアジャストしていく期間を考えると、4月は我慢しなきゃいけないのかなと感じる。

 ソトとオースティンはそろって今月13、14日のヤクルトとの2試合に代打で出場。翌15日のヤクルト戦から先発復帰した。しかし、チームとして勝てないのは、野球の難しさの一つ。彼らの前に塁に出る、彼らの後ろの打者が打って、勝負できる状況を作る。その繰り返しで打線となるのだが、ぶっつけ本番に近いソトとオースティン自体が本来の姿となるまでも時間を要する。

 ここまでの成績を見ると、セ・リーグはマルテ、サンズといった外国人がしっかりと開幕から機能している阪神が首位。パの首位を争うソフトバンクもグラシアル、デスパイネ、モイネロが健在だ。ロッテもマーティンが力を発揮している。外国人野手がいない西武は……というと、打線の並びを見ても、怖さがない。外国人選手の存在が序盤の戦いで大きくクローズアップされている。

 それにしても、今年の外国人の起用、そして補強を含めた動き方はチームマネジメントとして難しくなっている。本来なら、オープン戦、開幕後1カ月くらいで戦力になるかを判断して、新たな戦力補強を行うのが例年だが、まず新外国人選手の見極めもできていない。さらに補強したとしても、新型コロナウイルスの影響で自主隔離後の合流となるわけだから、戦力となるまで時間はかかる。今年は、シーズン途中で補強するケースは少なくなることが予想される。

 つまり、現有戦力(すでに獲得した外国人選手を含む)でシーズンを戦い抜くことが前提となる。どの球団だって負けが込むときはある。そのときに大型連敗をするかしないか、短い期間で好転できるかどうかは、選手個々の責任も大きい。強いチームの選手は、自分ができていたことは何か、今は何ができなくなっているのか、を分析し、あるべき姿に戻ることができる。そして全体の歯車をどう潤滑に動かすかを考える監督は、時にパーツというべき選手を組み替え、ギクシャクした部分にメスを入れる。その決断は開幕から30試合を経過したあたりとなる。

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東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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