泉氏は衆院議員の現職中、刺殺された石井紘基氏の秘書から、衆院議員となり、2011年に明石市長に初当選した。だが、19年に区画整理事業をめぐって、職員に暴言を吐いた騒動で辞職。その時の職員への「火をつけてでも立ち退かせろ」というパワハラ発言で全国的に知られるようになった。しかし、すぐに市長に返り咲き、現在は3期目である。

 東経135度、日本標準時子午線で知られる明石市は神戸市に隣接する、人口約29万人を擁する中核市だ。

 なぜ泉氏は政治的に見ると「格上」とみられる吉村氏や井戸氏や菅総理をも新型コロナウイルス対策で激しく批判するのか。

「兵庫県、大阪府にコロナが広がって、この1年間で病床がどれだけ増えたのか? 知事にとってそれが一番重要な仕事だったはず。やれば病床は増やせたはずなのに、なんでせんかったん? やっていれば、今になってコロナの新規感染者、重症者の急増であわてる必要がなかった」

 そして泉氏はこう憤慨した。

「市長では病院の設置、廃止などできません。病院を設置することも、潰すこともやれる権限があるのは知事。病床を増やす方法、なんぼでもある。コロナに協力すればベッド数を増やすとか非常時に協力しない病院は、地域医療に貢献していないと指摘すればいい。それに府や県は、府立、県立病院を持っている。そこの職員を人事異動させれば、すぐに人材は確保できる。そのためには思い切った予算を組むこと。私が知事ならしっかりと予算を組み、病床を増やしていました。できていないのは吉村知事と井戸知事の失政です」

 とりわけ、泉氏が疑問視しているのが、吉村氏のコロナ禍における「私権制限もありうる」という発言だ。

 吉村氏は泉氏の疑問に27日、こう反論した。

「私権制限は議論すべきです。これまでそれがタブー視されていた。諸外国では感染おさえるために制限すべきと、社会の安全性、命守るために必要という考えがあります。反対という明石市長のご意見もあるが論議すべき」

 新型コロナウイルス感染拡大において、私権制限しても強い措置で抑え込む必要性を語っている。ちなみに泉氏と吉村氏は、どちらも弁護士だ。
泉氏は吉村氏の政治の師、橋下徹氏と司法修習生時代をともにしている。

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私権制限に大疑問