そんな私にとって、若い世代の友人たちというのは、LINEや配信サービスの使い方から、King Gnuやチーズタッカルビの魅力まで、何でも根気良く教示してくれる貴重な存在です。彼らが「ミッツさん、頑張ってメモリーの容量を少しだけ空けて!」と言ってくれるお陰で、どうにか最新のトレンドにも知ったかぶりができ、この歳になっても新しい気付きに出逢えているわけです。

 そしてもうひとり私の近くには、年甲斐もなく若いアンテナを持った人がいます。マツコ・デラックスさんです。彼も私と同様「人生に新しい要素はもう要らない」というタイプなのですが、こと音楽に関しては笑ってしまうほどの探究心と積極性に満ち溢れており、先日も電話越しに「昨今のK−POP事情」を、6時間半もかけて徹底的に教えてもらいました。せいぜいBTSぐらいしか知らなかった私に、TWICE、IZ*ONE、BLACKPINK、ITZY、Stray Kids、MAMAMOOといった、耳にしたこともないような名前を連呼され、お互いにYouTubeを観ながら「顔が良いのはこれ」「ダンスが上手なのはこれ」「金がかかっているのはこれ」といった風に。さらには「スンミン」だの「ファサ」だの「チェリョン」だのメンバー各自の名前もすらすらと出てくる様に「K−POP凄い!」よりも「マツコ不気味!」の方が勝りましたが、言うのも申し訳ないので黙って聞いていたら朝になっていました。

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

週刊朝日  2021年5月7-14日合併号

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