和歌山県警に逮捕された須藤早貴容疑者(C)朝日新聞社
和歌山県警に逮捕された須藤早貴容疑者(C)朝日新聞社

 2018年5月、「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん(当時77)の怪死事件で逮捕された元妻の須藤早貴容疑者(25)。事件から3年近くを経て凶器となった覚せい剤の入手ルートが明らかになりつつある。

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「和歌山県警は野崎さん急死後、全国の警察に宛て、野崎さんの事件で使用された覚せい剤に関与がありそうな人物が逮捕されたら、何でもいいから情報提供してほしい、という依頼をしていました」(捜査関係者)

 約2年半前に覚せい剤関連事件で、近畿地方のある警察で逮捕された元密売人がこう話す。

「覚せい剤売買の疑いで逮捕された時、取り調べ中に『和歌山のことは知らないか』『野崎さんの絡みで、妻に覚せい剤を売ったりしていないか? その売買にかかわった密売人は知らないか』と何度も聞かれました。私の事件は処分保留で釈放となったのですが、その後も何度か警察から電話で同じ内容のことを聞かれました。一人、噂になっていた密売人の情報を得たので、警察に伝えました」

 こうした捜査の成果もあり、和歌山県警は須藤容疑者の覚せい剤の入手経路や日時を特定することができたという。

 須藤容疑者は野崎さん急死の直後、覚せい剤の密売人とやり取りしたSNSを削除。インターネットで覚せい剤について検索した履歴も消していたことが、和歌山県警の捜査でわかっている。

「事件後すぐに須藤容疑者の携帯電話を任意提出してもらい、調べていた。そこから、密売人や検索履歴の削除がわかった。削除していた検索履歴には、病死や事故死に見せかけるなどという検索用語も含まれていた。その当時から犯行は須藤容疑者でほぼ間違いないとみていた。しかし、密室の事件で証拠がない。捜査を進め、須藤容疑者が覚せい剤を密売人から買ったことが特定できたので逮捕となった」(前出の捜査関係者)

 野崎さんが急死した同じ時期、和歌山県警は携帯電話の検索履歴が重要証拠となる事件の捜査を手掛けていた。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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