中には「ワクチンを保存するフリーザーが確保できない」「ワクチン接種の案内状の印刷費用の予算をつけてほしい」「ワクチン接種のインターネットのウェブ予約がシステム障害で電話対応しかできない」などと訴えている自治体もある。

 ワクチンが届いても冷蔵保存できる設備がなければ、接種どころではないし、接種案内を印刷する予算がなく、ウェブ予約のシステムが故障すれば、大混乱することは必至。

「人手不足で医師の確保が難しく、週末は接種できない。接種完了は早くて8月末」と回答する自治体が大半を占めるなど、菅首相の掛け声とは真逆のお寒い状況となっているのだ。

 菅首相は総務大臣経験者で、自身の長男も総務省幹部との「口利き」接待に同席していたほど密接な関係にある。いわば、菅首相の「ホームグラウンド」だ。

「菅首相は今や官邸で『裸の王様』状態。自分が直々に指示したんだから7月末までに高齢者接種は可能と思い込んでいる。コロナ感染拡大が収まらなくても、ワクチン接種が進めば、緊急事態宣言の早期解除と東京五輪開催の両立は可能と本気で考えているようです」(政府関係者)

 自民党幹部はそんな菅首相をこう突き放す。

「菅首相の支持率低下の要因は、ワクチン接種が進まないことが大きい。感染拡大が収まらず、ワクチン接種がダメなら、東京五輪・パラリンピックも中止か、無観客など縮小するしかない。そうなると、菅首相に次の目はなく、自民党総裁選の出馬すらできないだろう。菅首相は自前の派閥がなく、無派閥の親しい議員を束ねることで一定の結束をはかってきた。しかし、支持率低下などで無派閥の議員らも菅首相から離れつつあります。その焦りから総務省を使って、ワクチン接種を早めようと賭けに出た。7月末と期限を切ったことで、達成できなかったら、公約が守れなかったと退陣もあり得る」

 国民だけでなく、自民党の多くの国会議員が菅首相の「公約」が実現するのか、注視している。

(今西憲之 AERAdot.取材班)

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