大リーグ4年目の大谷翔平が投打で活躍し、全米で注目を集めている。本塁打を量産し、投げては160キロ。肉体強化と打撃フォーム改造が実った形だ。AERA 2021年5月17日号で、その活躍ぶりや米国での反響を取り上げた。
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大リーグ・エンゼルスの大谷翔平(26)の活躍が目覚ましい。5月6日現在、計30試合に投打で出場。投手として4試合に登板して1勝0敗、防御率2.41。打者としては打率2割7分3厘、両リーグトップタイの10本塁打、24打点、6盗塁をマークしている。
二刀流で見せる高いパフォーマンスは野球の本場・米国にも衝撃を与えている。4月4日のホワイトソックス戦。「2番・投手」で渡米後初の投打同時出場を果たすと、一回の打席で右中間席にたたき込み、投げては公式戦自己最速タイとなる162キロを計測。五回に負傷降板したが、4回3分の2で7三振を奪った。メジャー歴代4位の696本塁打を記録し、この試合を全米中継した米スポーツ専門局「ESPN」の解説を担当したアレックス・ロドリゲス氏(45)はこう称賛した。
「松井秀喜(46)と田中将大(32)が1人の人間の中にいるようなものだ」
■米国のヒーロー具現化
米国で大リーグを長年見ている通信員は「全米の注目度はイチロー(47)を超えている」と証言する。
「イチローは米国の野球の常識を変えた選手です。どんな球でもヒットゾーンに飛ばし、俊足を飛ばしてダイヤモンドを駆け回り、守備でも再三の好守と強肩でチームを救ってきた。一方で、大谷は米国人が描く憧れのヒーローを具現化した存在です。誰よりも速い球で三振を奪い、誰よりも遠くに飛ばして本塁打を打つ。エンゼルスの先発陣の中で最も平均球速が速いのが大谷で、フリー打撃でも最も打球を遠くに飛ばすのが大谷です。投打の二刀流で大リーグ選手の誰もが成し得なかった活躍を見せていることに、選手たちからも一目置かれています」