「オムツ替えは、子どもたちとの大事なスキンシップの機会でもある」と現場の保育士たち。子どもにとって豊かな環境を作るためにも、男性保育士が普通に保育園にいることが望ましい(撮影/小内慎司)
「オムツ替えは、子どもたちとの大事なスキンシップの機会でもある」と現場の保育士たち。子どもにとって豊かな環境を作るためにも、男性保育士が普通に保育園にいることが望ましい(撮影/小内慎司)
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 保育現場に少しずつ増えてきた男性保育士。しかし、なかにはショックな経験をした男性保育士もいる。

 男性保育士のAさん(34)が、女子園児への接し方で強い衝撃を受けたのは、短大・大学で学び、22歳で保育士になって1年目の冬だった。

「ショックでした。そんな目で見られてたのかって。いまも、鮮明な記憶として覚えてます」

 Aさんは、兵庫県内の公立保育園で働く。当時1歳児を担当し、男子園児と同じように、女子園児にも当たり前のようにオムツ交換やおもらしをした後のシャワーをしていた。それが、秋ごろからAさんが女子園児のオムツを替えようとすると、横から先輩の女性保育士が慌てて「私が代わるわ」と買って出るようになったのだ。

 なんでかな──。不思議に思っていると、やがてその先輩が教えてくれた。

「実は、男性の保育士のオムツ替えやシャワーは抵抗があるというクレームが、女の子の保護者からあったんよ」

 現在、Aさんが働く市に公立保育園は23あり、男性保育士は19人。これでも決して多くはないが、Aさんが保育士になった12年前は、市に男性保育士は1人で、Aさんが2人目。保護者側に男性が保育することへの戸惑いがあったのかもしれない。それでも、子どもが好きで保育士の道を選んだAさんにとって、決して忘れられない出来事となった。

 昨年4月にも、Aさんは女子園児への接し方で園長から注意を受けた。女子園児の保護者から、子どものお尻を拭くのが男性保育士だと抵抗があるという声が園にあったからだ。

「感情的な部分ですし、人それぞれに価値観も違うのでイヤという感情は尊重しなければいけないと思っています。でも、保育士は国家資格の専門職。これが医師であれば、保護者は決してイヤだなどとは言わないと思います」

AERA 2013年6月17日号

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