日米首脳会談後の共同記者会見に臨む菅義偉首相とバイデン大統領 (c)朝日新聞社
日米首脳会談後の共同記者会見に臨む菅義偉首相とバイデン大統領 (c)朝日新聞社
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(週刊朝日2021年5月21日号より)
(週刊朝日2021年5月21日号より)

 日米首脳会談後の記者会見で、菅義偉首相はバイデン大統領から東京五輪・パラリンピック開催の決意に支持を得たと述べた。だが、その見返りは大きい。共同声明で台湾問題の明記に応じたことで、日中関係が悪化するのは必至だ。米中対立の“最前線”に立つ日本が戦場になる日も近い?

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 4月16日に行われた日米首脳会談後の共同声明には「台湾海峡の平和と安定の重要性」が明記された。台湾周辺で軍事的活動を活発化させる中国をにらみ、「台湾有事」を想定してのことだ。首脳会談の共同声明で台湾に言及するのは1969年の佐藤栄作首相とニクソン大統領以来。対中強硬路線を取るバイデン大統領の求めに応じた格好だが、台湾問題を「核心的利益」と公言する中国の習近平指導部はすぐさま反応し、「強烈な不満と断固とした反対」を表明した。軍事評論家の前田哲男氏が解説する。

「佐藤・ニクソン共同声明は日米が一体であることの意思表示でしかありませんでしたが、今回はまったく状況が違う。日本は近年、南西諸島を国防の第一線にする政策のもとで、ミサイル基地の設置を進めています。しかも、『12式地対艦誘導弾』を改良し、射程をおよそ900キロにまで伸ばす。日中間の緊張の高まりは、より現実のものになっています」

 南西諸島に配備されるのは陸上自衛隊の地対艦・地対空ミサイル部隊で、「南西シフト」と呼ばれる。ミサイル基地が設置されるのは鹿児島・奄美大島、沖縄・宮古島、石垣島だ。すでに奄美大島の奄美駐屯地と瀬戸内分屯地、宮古島駐屯地が開設された。このほか、沖縄・与那国島では、沿岸監視のレーダー基地が運営されている。

 南西シフトは九州・沖縄から台湾、フィリピン、シンガポールにいたる海峡・海域をすべて封鎖する対中包囲網の一環で、台湾以南には米海兵隊・陸軍が地対艦ミサイルを配備する予定。米国の西太平洋戦略に日本が組み込まれるかたちだ。それは同時に、有事の際に九州や南西諸島などが攻撃のターゲットになることも意味する。「南西シフト」に詳しい軍事ジャーナリストの小西誠氏が説明する。

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