■ストロボ発光も注意

 小島弁護士は言う。

「鉄道会社が危険回避や迷惑防止につながらないと判断すれば、今は許されている撮影場所や撮影方法も禁止されることもありえます。法令による規制の強化にもなりかねません。撮影させてもらっているという意識を持って楽しむ。鉄道会社の従業員や、ほかのお客に迷惑をかけないという意識を、いま一度持ってほしいと思います」

 鉄道ジャーナリストの松本典久さんは、すべての鉄道ファンに、(1)自分も鉄道の利用者であることを自覚する、(2)周囲の人々に迷惑な行為は慎む、(3)何が危険な行為なのか想像力を働かせる──この3点は守って撮影してほしいと語る。

「撮影者だからOKという例外はありません。自分以外の乗客や撮影者がいる場合、その妨げとなる行為は一般常識としてマナー違反です。ストロボも気をつけなければなりません。眼前で予期せず発光したら目がくらむように、運転手に向けて発光させれば、最悪、事故に結びつくことを想像すべきです」

 この声が、鉄道を愛するすべての鉄ちゃんに届いてほしい。(編集部・野村昌二)

AERA 2021年5月17日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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