小橋や神取の件は、代表がファンを少しでも喜ばせようと思って、機転を利かせて2人に声をかけてくれたんだ。彼女は小さいころからプロレス業界にいるから、ファンやプロレスラーの気持ちがわかるんだな。神取を呼ぶなんて、我が娘ながらチョイスが渋いよ(笑)。小橋も神取もありがとう!
入院中は個室で、「俺は病人だ」という気持ちをちゃんと持って、最初の1週間から10日はずっとベッドに寝っぱなしだった。ナースセンターから俺の部屋まで結構遠くて、看護師さんにわざわざ来てもらうのも悪いから、自ずと自分を律するようになったよ。ただ、その気持ちが強すぎて、実はちょっと怒られたこともあったね。
入院中にベッドから落ちてしまって、具合も悪いもんだからベッドに戻れなくなって……。ナースコールの呼び出しボタンにも手が届かないし、大きな声も出せない。「すみません~!」って大きな声を出したところでナースセンターまでは結構距離があった。看護師さんが来ても、俺のこの大きなからだをベッドに戻すのは大変だし、どうしたもんかと床に落ちた状態で数分間思案していたよ(苦笑)。どうにかしてベッドまで戻ったけど、場外からリングに上がるよりも大変だったなぁ。後日、このことを看護師さんに話したら、やっぱり「どうしてすぐに呼ばなかったんですか!」と怒られたけど……。
さらに、個室でシャワーを浴びた後に、裸でイスに座ろうとしてひっくり返ったこともあった。真っ裸だったから、このときばかりはさすがに看護師さんを呼ぶことはできなかったね!(笑)。全裸でゴロゴロ床を転げまわってなんとか起き上がって、からだが汚れてしまったから、またシャワーを浴び直しだ。
現役を引退してから、女房や代表にさんざん「やせた方がいい」と言われ続けたけど、ところどころでその言葉が思い浮かんで、ダイエットの重要性を入院してようやく実感した。今回も“周回遅れの天龍”だ(苦笑)。そうそう、結局入院中に20キロもやせたんだよ。1カ月半、出された病院食と麦茶だけだったからね。病院食だけも慣れれば平気。これは相撲とプロレスにいた者のしぶとさだ! 20キロもやせてからだが軽くなったかというと、案外そうでもない。なんでだろう? ただ、XLサイズの服が着られるようになって、代表が喜んでいるよ。俺がXLの服を着ているのを初めて見るからね(笑)。