まぁ、それは冗談として、やっぱりプロレスはいいね! 解説している俺も最後まで飽きずに楽しめた。さらに、試合が終わった後は、家に帰ってネット配信動画を代表と一緒に観たんだ。自分の解説をその日のうちに改めて動画で観られるなんて初めての体験で楽しかったね。

 ただ、俺の解説が自分で何を言っているのか全然わからないんだ! 俺の声が悪いのか、耳が遠くなったのか!? とにかくあの聞き取りづらさはショックだった!(笑)。代表に聞いたら「私はわかるよ」だって。ずっと一緒にいるとちゃんと聞き取れるみたいだ(苦笑)。

 最後に、改めてファンの皆さんへ。本当にいろいろな方からのコメントやメッセージを見て、いまだに天龍をこんなに支援してくれる人がこんなにいることを知り、ありがたさと御礼の気持ちしかない。本当にありがとう。

 だから、その人たちに嘘をついちゃいけないと思って、先日の大会終了後、こんなからだになったけどリングに上がって皆さんにあいさつをしなければと決心した。足と腰が言うことをきかなくて、リングに上がるまで2~3分かかって、自由がきかないからだをみなさんの前にさらけ出したけど、リングに上がったら大きな拍手をもらえて「これでよかったんだ」「足を運んでくれたお客さんに今の天龍のすべてを見てもらって、お土産を持たせられたかな」という気持ちになれたね。

皆さんも「天龍を応援してよかった!」という気持ちなのか、「あんなにボロボロなからだになって……」という気持ちになったのかは分からないけど、これからはこの無様な格好をどう進歩させて、皆さんに見せられるかが俺の戦いだ。落語でいうと、高座で寝ているだけで喜ばれる名人になれるか、それとも「芝浜」をとうとうと語れるような名人になれるか――。それは俺の持っていき方次第。これからも勝負だ!

(構成・高橋ダイスケ)

天龍源一郎(てんりゅう・げんいちろう)/1950年、福井県生まれ。「ミスター・プロレス」の異名をとる。63年、13歳で大相撲の二所ノ関部屋入門後、天龍の四股名で16場所在位。76年10月にプロレスに転向、全日本プロレスに入団。90年に新団体SWSに移籍、92年にはWARを旗揚げ。2010年に「天龍プロジェクト」を発足。2015年11月15日、両国国技館での引退試合をもってマット生活に幕を下ろす。

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