それは、仕事の全体としては向いていない部分があったとしても、「この部分は好きだ」と思えるところを見つけることです。周囲が反対しても、やりたいと思えた仕事を個別に思い出してみましょう。
たとえば、手間がかかり、同僚からは「そこまでやらなくてもいいんじゃないの」と言われたことがある仕事。
あるいは「費用対効果で合わない気がする」と指摘されたのに頑張ってしまった仕事。
こうした仕事は好きで天職である可能性が高いのです。
たとえば、よくモチベーションが下がるというSさんに、仕事で好きなことを聞いてみたところ「希望していないのに配属された部署なので好きではない」と一蹴されました。
ただ、部分的にでも好きだと思える仕事がないか個別に思い出していただくと、なんとそんな彼にも天職はあったのです。
若手社員の育成担当になったとき、周囲が積極的でなかったにもかかわらず、自分は何時間もかけて丁寧に指導をしたとのこと。時間も忘れて残業をしたことで上司に叱られたが、それも気にならなかったと教えてくれました。
「もしかしたら、人に教える仕事が天職なのかもしれませんね」と問うてみたところ「そうかもしれない」と答えてくれました。
部分的な天職を見つけられたその後は、育成担当の仕事を果敢に希望し、見事に任されるようになったとのこと。もともと「好きではない仕事」ということでモチベーションが下がることがあっても、すぐに上げることができたようです。
みなさんも“部分的な天職”を探してみて、モチベーションを上げる機会に活用してみてください。
「こんな仕事をいつまで続けるのか?」とやる気を失っていたころと、きっと見える風景が違ってくることでしょう。
■西野一輝(にしの・かずき)/経営・組織戦略コンサルタント。大学卒業後、大手出版社に入社。ビジネス関連の編集・企画に関わる。現在は独立して事務所を設立。経営者、専門家など2000名以上に取材を行ってきた経験を生かして、人材育成や組織開発の支援を行っている