全国には、厚生労働省が指定する「がん診療連携拠点病院」という病院が約400あります。特殊ながんでない限り、これらの病院で対応できると、加藤医師は言います。
「ただ薬物療法では、がん診療連携拠点病院が遠くにある場合、通い続けるのは大変です。地元の病院でもできれば、なにかあったときにすぐに相談に乗ってもらえて安心かもしれません」
がん診療連携拠点病院については、中川医師も「担当医だけでなくチーム医療がおこなわれていて、がんの治療に適した病院といえます」と評価しつつ、このように付け加えます。
「症例が少ない希少がんは、病院によって治療の技術や経験に差が出る可能性はあります。特に、開発中の薬を使う治験のような場合です。一般的におこなわれる治療ではないので、患者さんが治験を試したい場合は、病院を選ぶ必要があります」
なお希少がんについては、専門的に取り組む「希少がんセンター」を持つ病院もあります。
坪井医師は「日本ではがんの治療技術に大きな地域格差はないと思う」と断った上で、こう話します。
「チーム医療ではなく、担当医が一人で患者を診ている病院の場合は、がんの種類や治療法によってセカンドオピニオンを求めることも大切です。ただしセカンドオピニオンを聞きすぎると今度は何を信じていいか不安になるので、私は1病院か2病院までがいいと考えます」
【回答した医師】
国立がん研究センター東病院呼吸器外科長 坪井正博医師
近畿大学病院腫瘍内科主任教授 中川和彦医師
順天堂大学順天堂医院腫瘍内科教授 加藤俊介医師
(文/福永一彦)