脳動脈瘤(りゅう)とは、脳の血管に瘤(こぶ)ができた状態で、その瘤が破裂して出血すると「くも膜下出血」という命に関わる深刻な病気を引き起こす。週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2021』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から得た回答結果をもとに、手術(治療)数の多い病院をランキング形式で掲載している。2019年の脳動脈瘤の治療数が353件で全国1位になった「富永病院」(大阪府)が、多くの患者や医療機関から選ばれる背景や、診療体制について、同院理事長および院長の富永紳介医師に話を聞いた。
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脳動脈瘤が破裂して起こるくも膜下出血は、約3割が死亡する危険性があり、助かっても半数以上の人に後遺症が残るといわれている。脳動脈瘤は破裂するまでは自覚症状がほとんどないことが多いが、近年は脳ドックの普及により未破裂の脳動脈瘤が発見される割合が高くなっている。
2019年の脳動脈瘤の治療数ランキングの上位3位は以下の通り(週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2021』から)。
1位 富永病院(大阪府) 治療数353件(開頭手術149件 脳血管内治療204件)
2位 広南病院(宮城県) 治療数328件(開頭手術134件 脳血管内治療194件)
3位 埼玉医科大学国際医療センター(埼玉県) 治療数310件(開頭手術161件 脳血管内治療149件)
ランキングは特設サイト「手術数でわかるいい病院」で無料公開しているので参考にしてほしい。https://dot.asahi.com/goodhospital/
富永病院は、大学病院や国立の病院ではなく、もともとは脳神経外科のみの民間の病院として開院。脳神経外科を中心に、脳の手術に関連した再建をおこなう専門性の高い神経形成外科のほか、循環器内科、整形外科など、現在では九つの診療科をもつ病院だ。
同院は17年全国ランキング1位(治療数410件)、18年は全国2位(治療数376件)で、今回全国1位に返り咲いた。