「当院は、一貫して未破裂の症例が8割以上を占めてきました。それは、開業医の先生や近隣の病院からの紹介が多いからです。治療を受けた患者さんの評判を聞いて、直接来院される方もいらっしゃいます」
富永病院が治療数を伸ばした要因の一つとしては、情報開示を徹底したことがあるという。
「治療についてオープンにすることが、当院のモットーです。手術の内容がわかるように、患者さんのご家族やご紹介いただいた先生に手術のライブ映像を見てもらっています。退院時には術前術後の画像をお渡ししていますし、ご紹介いただいた先生にも詳細にご報告します」
同院は、脳の病気の治療数が豊富なため、医師以外の看護師やその他スタッフも経験値の高いプロフェッショナルが多く在籍している。術後のリハビリテーションなどについての対応も的確だ。
「術後の退院も10日前後です。スタッフの一人ひとりが、きちんとした仕事ができますので、安心して任せられます。長年、実績を積み上げてきたことで、患者さんや紹介してくれる開業医や病院の先生方にも信頼されるようになりました。それが治療数の多さという結果に表れていると思っています」
そう話す富永医師がアドバイスをくれた。
「脳血管は、他の臓器と同様に経年劣化があります。40~50代になったら一度は脳ドックを受けるなどして調べたほうがいいと思います。特に生活習慣病などの基礎疾患がある人は要注意です。脳動脈瘤は自覚症状が全くありません。言ってみれば、黄信号がなくいきなり赤信号という状態があり得るのです。脅かすわけではありませんが、一度は検査を受けてみるといいでしょう」
(文/伊波達也)