2.5次元のトップランナーとして活躍し続けている俳優、鈴木拡樹さんがAERAに登場。現在上演中の「舞台『刀剣乱舞』无伝 夕紅の士 −大坂夏の陣−」について語った。AERA 2021年5月31日号から。
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用意してあった飲み物の中から「これ、いいですか?」と遠慮がちにスイカのパックジュースを手に取り、「好きなんです」と目を細めた。
常に静かなほほ笑みをたたえ、柔らかな空気感が流れている人だ。
撮影直前、マスクを取るとメイクさんに「お願いします」と預け、ペコッと頭を下げる。インタビュー中、アクリル板越しにこちらの声が伝わりにくいことを気遣い、大きく頷きながら聞いてくれる。一つ一つの対応が温かく丁寧で、誠実な人柄が伝わってくる。
舞台では身にまとうオーラまでを変幻自在に変える。キャラが憑依したような演技力で、熱心な原作ファンまでも納得させる、2.5次元のトップランナーとして走り続けている。この人柄の通り、真摯(しんし)に謙虚に役作りに向き合ってきたからこそ成し得たことなのだろう。
上演中の「舞台『刀剣乱舞』无伝 夕紅の士(むでん ゆうくれのさむらい)−大坂夏の陣−」では、3年ぶりに三日月宗近役を演じる。待ち望んでいたファンも多く、存在感、殺陣(たて)の美しさ、ブレない重心に、Twitterには「本当に人間なのか」「神」などと絶賛する声があふれた。また、シリーズを通して張り巡らされている謎を読み解く「考察」も白熱中だ。
「先を楽しみにしていただけるのは、シリーズ作品としてすごく強い要素。今後、重ねていくためにも末満(健一、脚本・演出)さんの健康面を守っていかないといけないですね(笑)」
今月3日にシリーズ5周年を迎えた。
「5年続けられることもすごいですが、6周年7周年、大きく言えば10周年を目指し、再スタートするような気持ちもあります。多くのお客さまに応援していただけるよう頑張っていきます」
(ライター・大道絵里子)
※AERA 2021年5月31日号