中日・根尾昂 (c)朝日新聞社
中日・根尾昂 (c)朝日新聞社

 中日・根尾昂は、現在のプロ野球界で正統派のスターになれる資質がある選手だ。

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 今年でプロ3年目、チームではまだまだ大きな戦力になれてはいないが、所属する中日のファンでなくとも一人前の選手になって欲しいと見守る人は多い。

「1年目は周囲からも色々な声が聞こえた。(入団前までの経歴などが)完ぺき過ぎて妬みもあったのだろう。プロは甘くないと言って、どや顔をする人もいた。しかし時間とともに、そういったものが減った。野球への取り組み方、普段からの人間性に接していれば自然と応援したくなる」(中日関係者)

 大阪桐蔭では3年生だった18年に甲子園の春夏連覇に貢献。投打の二刀流も話題となり、10年に1人の素材と言われた。その年のオフに、4球団競合の末にドラフト1位で中日に入団。1年目は二軍で過ごす時期が続き、シーズン終盤に一軍に昇格したが、2試合に出場して2打数ノーヒットに終わった。2年目もプロ初安打こそ放ったが9試合の出場で23打数2安打。そして、そろそろ結果も欲しい3年目となる今季は、ここまで目立った成績はないものの、36試合に出場。今後の飛躍を期待させるプレーも随所に見せている。

「模範的な選手で野球への取り組み方が素晴らしい。球場入りはトップクラスに早く、暗いドーム内で黙々とランニングを始める。チーム練習前には汗びっしょり。試合後もトレーニングをして、球場を出るのは最後。オフの日も室内練習場やウエイトルームにこもりっぱなしです」(中日担当記者)

「野球に対して妥協しない。試合後でも納得がいくまでバットを振り込む。外野守備が苦手だと感じたら、時間を見つけては捕球練習する。データへの貪欲さもチームで1番。時間はかかっても必ず結果を出せると確信している」(中日関係者)

 真摯な姿勢は着実なレベルアップにもつながっている。今季は開幕から一軍に定着し、スタメン出場も増え、結果も出始めている。5月4日のDeNA戦(バンテリンドーム)の3回には、プロ初本塁打となる満塁弾を放った。コロナ禍で声を出しての応援は禁止されているが、球場中が大歓声に包まれたのは記憶に新しい。ホームランの瞬間、ドームで働く関係者も大いに喜んだという。

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ファンの対応も抜群