放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は「おぼろタオル」(おぼろタオル株式会社)を取り上げる。
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朝6~8時、在名他局が在京局の番組をまんまネットする中、唯一の自局制作、『ドデスカ!』(メ~テレ)に出演し始めて10年。東海3県の情報にはかなり詳しくなったつもりである。津市の「おぼろタオル」も、そんな一軒だ。
「百年かけて極めた匠の技。驚きのボリュームとくせになるやわらかさ」がコピー。ボリューム感があるのに軽量で、想像を超える吸水性を誇り、究極の拭き心地と高い速乾性が特徴だ。
愛媛の「今治タオル」、大阪の「泉州タオル」と共に“日本三大タオル”の一つにその名を刻む「おぼろタオル」。だが、あの佐藤可士和氏がロゴマークを担当する「今治」や、プレミアムブランドまで展開する「泉州」に比べると、やや商売っ気がないようにみえる。
「おぼろタオル」について『メ~テレドキュメント 長い助走~タオルに賭けた町工場の記録~』で取り上げたのは2007年。
「取材をしてみると、『おぼろタオル』そのものは、津市のおぼろタオル株式会社でしか生産されておらず、経営も立ち行かなくなっていることがわかった」とは番組制作に関わったスタッフだ。
地元の企業や店舗は、局や番組を挙げて応援するのがローカル局の魅力であり真骨頂。『長い助走~』が「全映協グランプリ2008 テレビ番組部門最優秀賞(総務大臣特別賞)」を受賞したことも起爆剤となり、世の注目を集めた。地元の旅館で使われたり、コラボ商品のアイデアが出されたりと、おぼろタオル株式会社は再び息を吹き返し始めたという。
それでも、愛用者のお一人、林真理子さんが、「売っているところがなく、しかも包装に何も書いてない」とブログで嘆いたのは2010年のこと。いかに商売っ気がなかったかの表れだろう。
その6年後、「G7伊勢志摩サミット」の昼食会で“お手拭き”“お口拭き”に使われたことが外務省の公式ホームページに紹介されたことで知名度が劇的に上昇し、今に至る。
ちなみに林さんは「肌をいためず、こすると怖いぐらい垢がポロポロ」「最高のタオル」と綴っていらっしゃる。美容に一家言もつ著名人には、いまや常識。『ドデスカ!』のコメンテーターで愛知県小牧市出身の“美容男子”、スピードワゴン井戸田潤さんも絶賛愛用中だ。「専顔タオル」のみならず、「専身~」「専髪~」もオススメだ。
山田美保子(やまだ・みほこ)/1957年生まれ。放送作家。コラムニスト。「踊る!さんま御殿!!」などテレビ番組の構成や雑誌の連載多数。TBS系「サンデー・ジャポン」などのコメンテーターやマーケティングアドバイザーも務める
※週刊朝日 2021年6月4日号