レスリーさんは80年にザ・タイガースのヒット曲「花の首飾り」「銀河のロマンス」をカバーして話題を集めたが、そのきっかけを作ったのはPekoさんらしい。

 瞳さんは「レスリーにカバーしてほしくて毎日机の上にそれとなくタイガースのレコードを置いたそうです(笑)。英語詞で歌った雰囲気が好きで、僕もたまにレスリーバージョンの『銀河のロマンス』をライブで披露しているんですよ。『一度、3人で会おうよ』という話もあったんですが、果たせませんでしたね。つくづく残念です」と話す。

 18歳の時、BCRのマネジャーだったタム・ペイトンからレイプ被害に遭い、その影響か70年代後半以降はたびたびアルコール依存症や薬物依存症に苦しんだというレスリーさん。08年から09年にかけて出演した依存症克服をテーマとしたテレビ番組「Rehab」で、過去に複数の同性と肉体関係にあったことを告白した際は危機もあったようだが夫婦で乗り越え、関係は修復したという。

 若くしてミュージシャンとして成功をおさめたものの、以後の人生を常にスターであることのプレッシャーとストレスにさらされ続けたレスリーさんにとって、自身の等身大の人格と音楽を理解してくれるPekoさんの存在は、大きな心のよりどころだっただろう。

 65歳での死は大往生とは言えないが、愛する家族に囲まれたレスリーさんの最期の日々は、決して不幸ではなかったのだと思いたい。(中将タカノリ)

瞳みのる(ひとみ・みのる)/1946年9月22日、京都生まれ。1967から1971年までザ・タイガースのドラマーとして在籍。グループ解散後、芸能界から引退。解散直後に高校(京都府立山城高等学校)に復学し、1年間の猛勉強で慶応義塾大学文学部に合格。文学部中国文学科を卒業後、同大文学部の修士課程を経て慶応高校で教壇に立つ。2011年に芸能界へ復帰し、ザ・タイガースのメンバーとも積極的に競演する。2021年9月20日には烏山区民会館(東京都世田谷区)でバースデーイベントを予定。

週刊朝日  2021年6月4日号

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