ここまで現金贈与や教育資金贈与信託などについて見てきた。これらは「今あるお金を、孫のためにどう活用するか」で共通している。改めて現代の子育て事情に目をやると、孫1人を育てるのに莫大(ばくだい)なお金がかかることがわかる。
例えば教育費。文部科学省の調査を見ると、幼稚園から高校までで全部公立に通うと約540万円ですむが、首都圏で多い中高一貫の私立に通わせると1千万円近くに膨らむ。大学4年間も、国立に通うと約250万円だが、私立文系だと400万円を超え、私立理系では約550万円もかかる。何と教育費だけで「約800万~約1500万円」にもなるのだ。
なんだか100万円が「小さく」見えてしまう。「もっと孫を援助したい」が祖父母の本音と考えると、100万円を元手に“殖やして孫に渡す”方法などはないものか。
「100万円」をキーワードにインターネットを眺めていると、今、60万部を超える大ベストセラーになっている『本当の自由を手に入れる お金の大学』の著者、両@リベ大学長がYouTubeで唱えている手法に行き着いた。
孫ではないが、子供が「お金で苦労しない」ためにできる一番いいこととして、「世界株式を扱うインデックスファンドを100万円分渡して、65年間放置せよ」と主張しているのだ。そうすることで、お金そのものを残せるうえに、金融教育を通してお金を殖やす力を身につけさせることができるという。
具体的にはこうだ。
100万円は65年後にどうなるか。両学長によると、米投資銀行が出している世界株式の超長期リターン予測は「4.8%」。それで65年間運用すると「約2250万円」になるという。将来値上がりする保証はどこにもないが、過去200年の歴史を見ると、1802年に1ドルで購入した株式は現在2774万ドルにまで成長しているとする。まさに世界の成長を買う「長期投資」の王道だ。
金融教育はファンドを眺めているだけで行える。全世界の主要企業に投資することになるので、「株主の一人」として世界経済に関心を持つように促せる。毎年、配当金が来るので、「再投資」に回すか「使う」かの判断で「ためる力」も養えるとする。