林:「あなたはあなたのままでいい」と言ったって、なかなかできないですよ。私も娘が一人いますけど、いつもカリカリしていますもん。母親って欲が深いから。

Matt:小学校とか中学校のときに、「なんで野球やらないんだ」とか、「なんでそんなしゃべり方するんだ」とか、先生とか周りの子から批判されがちだったんですけど、母は「Mattはいいものを持っているんだから大丈夫。あなたはあなたのままでいい」と常に言ってくれて、生きやすい環境にしてくれました。僕はそれで自信がつきました。

林:お父さまもよき理解者だったんですか。

Matt:僕は4年前ぐらいにデビューしたんですけど、僕がこの仕事をするまで、父とはあまり深い話をしてこなかったんですよ。家の中の会話は兄と父との野球の話が多かったので、僕はその中に入れなかったし、入ろうとも思わなかったんです。それと、僕が中学生のあいだ、父はメジャーリーグに行ってましたし、だから母との会話が多かったですね。

林:お父さまはMattさんがこの仕事を始めたとき、何とおっしゃってたんですか。

Matt:デビューしたころはネットニュースのコメント欄やSNSとかで批判がすごかったんですけど、それより、父がそれまで僕たちに話してくれたドラフト後のバッシングのほうがもっとひどいんですよ(注:大学進学を表明していた桑田氏の巨人入団をめぐる密約説などのゴシップ)。たとえばお店に行ったらおしぼりを投げつけられたとか。

林:まあ、ひどい!

Matt:それに比べたら、インターネットで中傷されるなんて小さなことだし、僕も子どものころから周りにいろいろ言われて、免疫はできていたので、あんまりグサグサ傷つくということはなかったです。父も母と同じように「大丈夫だから」と言ってくれて、そういう家族がいてほんとによかったなと思いますね。

林:偉大なお父さんを持つと、いじけて変になっちゃう子が多いけど、こんなに素直で明るい方で、ほんとに素晴らしいです。

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