また、副作用として血液が濃縮する多血症があり、適正量を守ること、定期的な血液検査で確認していくことが必要だ。ゲルやクリーム製剤は副作用が少ないとされているが、自費診療となる。

「姿勢を保ちにくく引きこもっている人がテストステロンを補充して、活動的に出かけられるようになったというケースはよくあります。ただし、補充する必要があるほどテストステロン値が低い人は、それほど多くはありません」(同)

 テストステロンを補充しない場合は、漢方薬や生活習慣の見直しでテストステロンの分泌能力を高める。たとえテストステロンを補充したとしても、生活習慣の改善は不可欠だ。

 筋肉を刺激する適度な運動や栄養バランスのとれた食事のほか、趣味や友人をつくるなど、自分の居場所を持つことがテストステロンの分泌を促すことにつながるという。

 テストステロンは、筋力のほか骨量や生殖機能の維持、認知機能、血管の機能などに関わる。このため、テストステロンの低下は、肥満や糖尿病、心血管系疾患、脂肪肝などのリスクを高めることがわかっている。

「テストステロンの低下を防ぐことは、生活習慣病の予防にもつながるのです」(同)

 男性更年期障害に詳しい医師は泌尿器科医が中心だが、診断、治療を受ける場合は、日本Men’sHealth医学会が認定する「テストステロン治療認定医」などが目安になる。

(文・中寺暁子)

※週刊朝日2021年6月25日号より

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