放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、嘘について。
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世の中の夫婦はどのくらい嘘をついているものなのだろう?気になってネットで調べてみたら、とあるアンケートで、パートナーに嘘をついたことがあると答えた人が85%以上いた。それを聞いて安心した。安心したということは嘘をついているということだ。
嘘をついてはいけないというのは子供のころから大人たちにずっと教わり続けていることだ。だけど、大人になると、仕事でも、嘘をついてしまう。遅刻の言い訳などの自分を守るための言い訳的嘘はもちろんのこと、生きていくうえで必要な嘘もあると思ってしまうからだ。これはあの上司には言わない方がいいから嘘をつくということもある。仕事を円滑に進めたいがための嘘なのだが。
とある番組の取材で驚くべきことがあった。「一発屋」と言われるあるアーティストに番組ディレクターが取材したときのこと。そのアーティストAさんは、その取材を受けることもあんまり納得してない様子。ディレクターが一発屋であることに斬りこむと、Aさんは「私、一発屋じゃないですよ。そのあとのシングルも、○万枚売れてるし」と怒っている。そのAさんが言っている情報と、ディレクターが調べた情報は違った。ディレクターが「その情報間違ってると思います」と、本当のデータを見せた。顔色が変わるAさん。そしてマネージャーにブチ切れ。そうです。Aさんはマネージャーさんに30年以上嘘をつかれてきたんです。それがバレないっていうのも凄いんですけど。嘘をついたマネージャーさんはダメですが、でも気持ちはわかります。当時、Aさんを傷つけたくない、落ち込ませたくないという思いもあったんでしょう。良かれと思ってついた嘘だったんでしょうね。
で、夫婦の話に戻りますが、そのアンケートを見ていると、「なぜ嘘をつくのか」という理由に「相手が怒りそうな時は嘘をつく」と書いてあった。わかる~~。そうなんです。相手が怒りそう。空気が悪くなりそう。それをもとの空気に戻すのに時間がかかりそうと思ってしまうから嘘をつくんです。