「ママとパパが日常生活の中でわが子をおにいちゃん(おねえちゃん)扱いして、そのヒトコマとして、『そろそろ、おっぱいとバイバイだよ』と優しく話しかけるのはアリです。子どもなりに『もうじき、おっぱいはおしまいなのかな』と受け止めていくのではないかと思います」

 また、よくあるのが、おっぱいが寝かしかけるのが儀式になっている場合。まずはママのおっぱいと、お気に入りの何かを平行させて寝かしつけてみよう。その際、肌ざわりが心地よいタオルや薄がけ布団、ぬいぐるみなどがおすすめ。

「例えば、おっぱいを飲みながら、そばにお気に入りのぬいぐるみを置いてあげたり、ふんわりした肌触りのタオルなどを肌に触れさせてあげたりするといいですね。徐々におっぱいから、お気に入りグッズに移行していくことができます。また、パパや家族に寝かしつけをお願いするのも一つの方法。あの手この手を試してみてください。きっと、その子に合う方法が見つかります」

■ ママがおっぱいを搾るのは逆効果
 
 卒乳するときは、ママ自身もケアしてほしい。「おっぱいが張ってつらい」というときは、脇の下たからおっぱいの側面にかけて冷やすと、張りがやわらいで楽になる。その際、カチカチに凍った保冷剤を使用するよりも、熱さまし用冷却シートくらいのひんやり感がおすすめだ。

 また、ママが自分で搾って、楽になるまでやみくもにおっぱいを出すのはよくないという。

「おっぱいが張って硬くなるからと搾ってしまうと、かえって張りやすくなってしまいます。卒乳するときは、おっぱいをある程度パーンと張らせることが必要。すると“需要がない”という信号が脳に届き、プロラクチンという乳汁分泌を促すホルモンが減少して、乳汁分泌が止まっていくというメカニズムがあります」

 おっぱいの張りが強い人は、お産した施設の母乳外来や、地域の助産院、産後ケアセンターなどに相談し、乳房内にたまった乳汁をお掃除する『排乳ケア』を受けるといいだろう。乳房内に乳汁がたまったままの状態を放置すると、乳汁の残りが石灰化することがあり、後にマンモグラフィーを受けたときに影となって映ることもある。直接腫瘍になるわけではないが、排乳ケアを受けることによって、影が映る心配は少なくなると考えられる。

中嶋 彩(なかじま・あや)/産前産後ケアセンター 東峯サライ副センター長、東峯婦人クリニック助産師。母乳育児や卒乳に関わる相談はもちろん、産前産後のママと赤ちゃんのケアを担当している。

(取材・文/スローマリッジ取材班 大石久恵)

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