指導した北島康介選手、萩野公介選手が、計五つの五輪金メダルを獲得している平井伯昌・競泳日本代表ヘッドコーチ。連載「金メダルへのコーチング」で選手を好成績へ導く、練習の裏側を明かす。第73回は、「地方の協力を得て日本代表強化」。
【写真】ジャパンオープン男子200メートル背泳ぎで優勝した入江陵介選手
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6月3日から6日まで千葉県国際総合水泳場で開かれたジャパンオープン2021に、競泳日本代表チームとして出場しました。
東京五輪でメダルを狙う選手たちの多くが、五輪を想定した泳ぎを見せていました。自由形の松元克央、背泳ぎの入江陵介、バタフライの水沼尚輝らは午前決勝の五輪に合わせたレースをしていた。私が指導する個人メドレーの大橋悠依も予選から積極的なチャレンジができていました。
日本代表チームは5月31日から6月6日までの第2次合宿の期間中に出場した試合でした。コーチ、スタッフもミーティングを重ねて、チームの結束力を高めていきました。思うように力を発揮できなかった選手もいましたが、実績のある選手が予選からしっかり泳いでいるのを見て、全体の雰囲気が後半ピリッとしてきたところがあります。
4大会連続の五輪出場となる31歳の入江は、はつらつとした泳ぎでチームを引っ張っています。長いキャリアの中で苦しい時期もありましたが、地元五輪に照準を合わせて調子を上げている。のびのびやってくれているのを見ると、こちらもうれしくなります。
ジャパンオープンでは五輪代表以外の選手の活躍も目を引きました。東京五輪を目指しながら代表選考会では十分に力が発揮できなかった選手たちが、シーズンに向けて記録を伸ばしている。新しい選手が出てきて世代交代が進むのは五輪イヤーによく見られることです。今回は女子の中学生で決勝に残った選手も多く、競泳委員長、日本代表ヘッドコーチとして、明るい未来を感じています。
日本代表チームの第3次合宿は五輪開幕前の7月16日から。それまでは所属の練習が中心になります。五輪まで全国大会はありませんが、地方の水泳連盟の協力を得てレースに出場する代表選手もいます。7月3、4日には神奈川県相模原市で競泳委員会が提案するプログラムで競技会があり、日本代表はリレーメンバーを中心に出場します。