だれもが楽しみながら体を動かし、健康づくりに役立つように医師や理学療法士の協力を得て開発された「ダレデモダンス」。考案者は来年還暦を迎える日本のトップダンサーの一人、SAMさん。ダンスの効果の学問的な裏付けを大学で学び、普及に力を注ぐ思いを聞いた。
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南カリフォルニア大学のジェロントロジー学の講座をオンラインで受けていたのですが、5月に修了しました。「老年学」とか「加齢学」とか訳される学問です。
2016年から「ダレデモダンス」という高齢者の方の健康寿命を延ばす取り組みをしています。「老化」との向き合い方に興味があったので、紹介されてすぐ始めることにしました。去年の1月から始めて、全60講座。けっこう大変でした。
山野学苑(理事長・山野愛子ジェーン)と南カリフォルニア大学の提携講座で、動画に日本語の音声がついています。それでも最初の医学関係の16講座はきつかったですね。「老化による一般的な変化と高齢者の疾患」ということで、「免疫系と尿路系」「心臓病」「内分泌系とホルモン」など医学生かと思うような難しい講義が続くんです。
でもそのあとは「エクササイズ」「老化による身体の変化」「高齢者とのコミュニケーション」など知りたいテーマになり、どんどんおもしろくなっていきました。スマホを2台持っているので、1台で講義を見て、重要だと思ったところで一時停止、もう1台でメモをとりました。1講座30分強、長くて50分ですが、この方法だと見終わるのに3時間近くかかります。どこも重要に思えて、メモが長くなるのです。知りたいという意欲があるので、全く苦痛にはなりませんでした。
――SAMさんは1962年生まれ。岩槻藩の御典医の家系で、父も兄も医師。一人、ダンスの道を選び、92年からTRFのメンバーに。いとこの丸山泰幸医師(岩槻南病院理事長、病院長)の協力で、心臓病手術後のリハビリ患者のデータを取りながら「ダレデモダンス」を開発した。
修了して一番よかったのは、自分のしてきたことが間違いないと思えたことです。「ダレデモダンス」が高齢者にすごくいいということを再認識できたし、体を動かす意味を具体的に話せるようになりました。
講義でビデオゲームが取り上げられました。操作方法を覚え、画面を見ながら動かし、競い合うのが高齢者に良いという内容でした。ダンスは振り付けを覚え、音楽に合わせて踊る。しかも大勢で踊ればコミュニティーもでき、生きがいになる。ゲーム以上にいいんです。
「美しさ」をテーマにした講義もありました。他人から見て自分がどういう存在か、自覚することも大切なんです。ダレデモダンスのレッスンに行くため、洋服を選んでお化粧をする。これもすごくいいんです。