仮に会見で秋篠宮さまが「事実と異なる報道」に反論すれば、それがSNSで部分的に切り取られ、さらなるバッシングとなる。そんなこともたやすく予想できる時代だから秋篠宮さまは慎重なのではないだろうか。SNSとメディアで情報がキャッチボールされ、気づけば「事実」になっている時代。秋篠宮家はその困難さを一身に抱えている。
もう一つ、96年の会見の話をする。そこで秋篠宮さまは、奄美大島での体験を語った。マングローブの自生する地域で車を降りると、地元の人が100人以上いて、ごく自然に話をした。会見で語ったこの思い出を、今も懐かしそうに語る。江森氏はそう書いている。
今回の会見で秋篠宮さまは、夏の高校総合文化祭での思い出を語った。会場を回ったら、ある作品を見ている親子がいた、見たい作品だったので近づいたら、作品の作者だった。これはオンラインにはない「偶然性」で、これからもこういう交流があったらよい。そう話していた。
秋篠宮さまはずっと、国民との「自然な交流」を求めている。SNSがその助けになることを願っているのだと思う。(コラムニスト・矢部万紀子)
※AERA 2022年12月12日号より抜粋