この場合、「100点を取る必要はない」「70点でもよしとしよう。周囲から見たら100点かもしれない」「自分が思う100点は、ほかの人から見たら120点かもしれない」と、あいまいさや妥協することを認める勇気を持ちたいですね。
また、こんな方もいます。いつもは仕事と家事や育児をきちんとこなしているのに、保育園に通う子どもがたまたま熱を出してしまい、園から迎えにくるよう言われたものの、どうしても代わりのきかない仕事があり迎えに行けなかったとしましょう。こうしたことは起こりえますよね。でもこのようにたまたまできなかっただけなのに、「ああ、いつも自分は子どもに寂しい思いをさせている」「私はだめな母親だ」と、仕事と育児を両立できていないと考え責めるのです。
1回失敗しただけなのに、すべてができていないと思う(思考のくせ2)のです。専門的には一般化のしすぎといい、一度や二度の失敗があると、いつも自分はこうだと考えるくせです。いつもではない、たまたま迎えに行けなかっただけ、と考えて冷静に見るようにしていけば、この思考のくせによるストレスを減らすことができるはずです。
■(ケース2)「大勢を前にしてのプレゼンが苦手です。いつも緊張して、冷や汗が……」
プレゼンはビジネスパーソンにとって必要不可欠なもの。回避できないからこそ、大きなストレスとなっています。プレゼンのたびに全身から冷や汗が出たり、べっとり手汗をかいたり、胸がざわざわしたり……というのはまだましで、私の患者さんには「症状が重く、動悸で胸はバクバク、体がほてり、その場に倒れ込んでしまいました」という人もいました。
プレゼンを前にどんなに万全の準備をして取り組んだとしても、極度な緊張状態になってしまう人に共通しているのが、失敗するかもしれないという思考のくせ。根拠もないのに失敗するという悪い結果を勝手に予測しているだけ(思考のくせ5)なんです。これがストレスの源。失敗を恐れるから態度もおどおどするし、プレゼン全体の印象が悪くなってしまうのです。