「涙が止まらなくなった」　芸人・塚地武雅が舞台袖から見た、ウッチャンの知られざる姿

「本番前に『俺、うまくできるかなぁ』と身内にもらすような言葉を聞くと、距離が縮まったように感じます。『私はスタイリストで良かったです。衣装が決まればそんなに緊張することないですもん』と正直に返しますが、正直に返せることを含めて、『弱みを見せる』という武器が距離を縮めてくれているのではないかと思います」

　
　弱さを隠さない内村の姿は、リーダーとしてマイナスに作用するどころか、周囲の人間が内村の内面にある「人間らしさ」を目にすることでプラスに働いている。
　
　お笑い芸人・いとうあさこ氏も、「内村さんのことを、みんなでゲラゲラ笑ってもよい感じがある。コントの世界の神様のような方なんですが、神様じゃない。いつも人間を見せてくれる。隣のおにいさんでいてくれる」と慕う。

「ああ、この人も私たちと変わらない普通の人なんだ」と自然と思わせてしまうところが、誰からも好かれる内村の“最大の強み”なのだ。
　
　そして、自分が「弱い」ということ、自分が「完璧でない」ことをちゃんと知っているリーダーは強い。弱い人の気持ちも分かるし、パーフェクトを装っていないから、欠点を自覚しながら、その人生を突き進んでいくことができる。

●畑中翔太（はたなか・しょうた）
博報堂ケトルクリエイティブディレクター。アクティベーション領域を軸に手段とアプローチを選ばないプランニングで、「人を動かす」統合キャンペーンを数多く手掛ける。 これまでに国内外の150以上のアワードを受賞。Cannes Lions 2018 Direct部門審査員。2018年クリエイター・オブ・ザ・イヤー メダリスト。

※今回で「連載　内村光良リーダー論」は終了します。