新型コロナの影響で社会人の働き方や時間の使い方が見直されている。そのなかで、注目されるのが「学び」だ。できた時間を有効に活用し、社会で働いているからこそ自分のスキルアップをしたいと考える人もいる。仕事をしながら大学院へ通うためには、どんな点に気をつければいいのか。アエラムック『大学院・通信制大学2022』では、実際に大学院に通っている社会人に話を聞いた。
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2018年に国会で成立した「働き方改革関連法」で残業が減ったことや、新型コロナウイルス感染症の影響で在宅ワークが推奨されたことにより、社会人の働き方や時間の使い方は大きく変わって来ている。
大学では少子化の影響で学部生の増加が見込めないため、社会人を積極的に受け入れるようになっている。
大学院では社会人が通いやすいように、夕方や土日に開講したり、ビジネス街にサテライトキャンパスを設けたりしている。最近ではオンライン授業の普及により、さらに社会人でも学びやすい環境が整っている。
「社会人大学院生のススメ」の著者で自身も学びながら大学院に通った教育ジャーナリストの松本肇さんは、「修士のスキルは研究者だけでなく、社会人にも有用」と話す。
「学位を取得したことで、一気に給料があがることは考えにくいですが、得た知識、論理的思考や考えて行動する姿勢は、仕事に役に立つはずです」
転職する場合は、修士や博士という学位が武器になることもあるという。
社会人として働きながら大学院に通うためには、どのようなことが必要になるのだろうか? 今回の取材を通して、共通していたのは五つの条件だ。
・何のために学ぶのか明確なビジョンを持つ
・職場の理解を得る
・家族の協力を得る
・スケジュール管理をしっかりする(段取り力)
・息抜きの時間を確保する
まず、大学院で何を学び、それを職場でどのように生かしていきたいのか、明確な目標を持つことが前提となる。
次に、働きながら学ぶためには、職場の理解が必要になる。職場に大学院で学ぶことをあらかじめ伝えておき、授業のスケジュールを職場と共有すると、気兼ねなく退社しやすくなる。協力的な雰囲気を作るためには、普段の仕事をまじめにこなすべきだろう。