■成人式欠席し自主トレ

 伊志嶺さんから監督を引き継いだ末吉昇一さん(39)は平良が2年の冬、初めて本人の口から「プロに行きたい」と聞いた。当時はずば抜けた持ち球がなかった。末吉さんはまず野球に取り組む意識をもっと高めるよう説いた。その後、平良はただ力まかせに投げるのではなく、ブルペンにスピードガンを持ち込み、1球ずつ数値と投球感覚を確認するようになったという。

 プロ入り後は球の回転数や回転軸なども測れる、70万円以上する機器「ラプソード」を自費で購入。変化球を磨き、直球にこだわらない投球で無失点記録をつくった。末吉さんは言う。

「19年オフには西武の優勝旅行も成人式も欠席して自主トレを優先しました。野球への貪欲(どんよく)な姿勢に、もっともっと成長すると感じています」

 東京五輪の日本代表「侍ジャパン」にも初選出された。稲葉篤紀監督(48)は6月の記者会見で「パワー系のリリーフとして国際舞台でも通用する投手」と評価した。末吉さんも「金メダルの瞬間にマウンドに立つ海馬の姿を見てみたい」と期待する。

「島の宝」が日本の宝になる日も、もうまもなくだ。(編集部・深澤友紀)

AERA 2021年7月19日号

暮らしとモノ班 for promotion
「Amazonブラックフライデー」週末にみんなは何買った?売れ筋から効率よくイイモノをチェックしよう