

AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:職場でのお昼の時間が苦痛です。女子はお弁当を一緒に食べますが、話が“低俗”で疲れてきます。私は本を読んだり勉強したりしていて、それなりに知性は高いと自負しています。話が釣り合う人が周りにいないのは私がナルシストで傲慢な考えをもっているからでしょうか。私の心の中の指針をぎゅぎゅっと訂正していただけないでしょうか。(女性/事務職/47歳/さそり座)
A:一つの笑い話として聞いていただければと思うんですが、僕は昔、恋愛についてすごく勉強したかったんです。恋愛という概念を知るためには読まなきゃいけない本が何冊かあって、その参考図書の一つがスタンダールという人の『赤と黒』という本でした。でも、当時の僕にはその主人公がいわゆる中2病みたいな超面倒くさい人に感じられて、途中で読み進めることができなくなってしまったんです。なぜかというと、自分と重なったから。これは僕の中で「スタンダールショック」としてしばらく引きずりました。それでやっと気づいたのが、恋愛って学習じゃ学べないんだっていうこと。参加しなきゃいけないんだなって。
恋愛もそうだしもしかしたら生きること全般に言えるのかもしれませんが、行き詰まりを感じたときや答えが出ないときって、「自分から心を開かなければいけないタイミングがきたのかもしれない」と僕は思っているんです。
僕自身がそういう人間だったからこそ思うんですけど、やっぱり「壁」ってしつこいです。自分はこれだけ頑張っているのに、好きな子を笑わせるためのギャグも練習しているのに(笑)、評価されない。周りの適当な人たちが褒められていると悔しかったし、絶望感を感じました。
でも今思えば、研究熱心ではあったけれど唯一僕がやっていなかったのが「心を開く」ことだったんです。心の開き方がわからなかったから。