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 コロナを機に、「YouTubeを視聴する人」だけでなく、「YouTuberになる人」の数も増えました。私の知人も、時短勤務や休業をきっかけに隙間時間ができたため、チャンネルを開設した人が何人かいます。素人でも参入しやすく、激戦区になっているジャンルが、ペット系YouTuberです。

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 現在、日本で最も勢いがあるペット系YouTuberの一人は「もちまる日記」です。公開初日に100万回以上再生される動画もあり、好きでYouTubeを見る人はほぼ全員が知っているチャンネルです。なぜ、もちまる日記がここまで人気になっているのかというと、猫のもち様がとても表情豊かで、猫としては非常に珍しいレベルで甘えん坊だからです。

 YouTubeやTikTokなどの動画コンテンツで人気になる動物は、表情が豊かです。喜怒哀楽がはっきりしていて、顔や態度にでる動物は、とても動画映えします。実際に猫を飼っている人はわかるのですが、猫はなかなかポーカーフェイスで、飼い主に対して一定の距離を置きます。もち様のように甘えてきたり、くっつく猫や、飼い主に何かあると鳴いてくれる猫は非常に珍しいのです。

 もち様はいわば「こうあってほしい」という猫の姿であり、ある種のフィクションのような稀有な存在ともいえます。だからこそ多くの人に再生され、拡散されます。もちまる日記を真似て猫のチャンネルをスタートしたとしても、猫の性格がチャンネルの成功に大きく関わっているため、同じように再生させるのは至難の業といえます。

 インスタグラムなどの写真コンテンツの場合は、かわいさや美しさで人気になりますが、YouTubeやTikTokの場合は動画に起承転結をもたらす豊かな表情や喜怒哀楽による動きが必要です。ペット系YouTuberの企画の多くは、動物に仕掛けるささやかなドッキリです。そのような、飼い主が仕掛けるちょっとしたドッキリに、ちゃんと喜怒哀楽のリアクションしてくれる子が再生されやすいです。素人判断ではなかなか適性を見抜くのは難しいですが、Twitterで多くのいいねをもらえるタイプの子は、YouTubeでも再生されやすいという傾向があります。犬や猫の種類というよりも、その子自身の個性が重要です。しかしながら、猫や犬は飼っている人の母数が大きいので、競合も非常に多いです。

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