コロナ禍で迎える2度目の夏。外出も減り、炎天下でマスク着用という状態では、気づかぬうちに熱中症という事態も。予防として水分補給は言うまでもないが、最近は、活動前に体内の温度(深部体温)を下げておくことが効果的との指摘も。
【写真】テニスの国際大会で日本人選手が利用したアイススラリー
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熱中症といえば、暑い日になる、と思いがちだが、決してそうではないらしい。また、水分を取っていたのにもかかわらず、熱中症の症状に陥るケースもあるようだ。
まずは、熱中症になったという人たちのそれぞれのケースを紹介する。
千葉県在住の安彦守人さん(42)は、2018年9月上旬に自宅で熱中症になった。
「朝起きたら体調がとても悪く、吐き気を感じ、視界も悪い。暗くなっていく感じでした」
なんとか自力で病院に行き、点滴などで回復したものの、「危険な状態だった」と振り返る。
「その日は、それまでの週に比べてそれほど暑くない日でした。そんな日でも熱中症になるのか、と思いました。前週からの疲れがたまっていたのだと思います」
それ以来、イオンバランス飲料やミネラルが豊富な麦茶を頻繁に取るようになった。
住宅関連会社に勤める相馬靖裕さん(34)も「ヒヤリ」体験をこう語る。
「確か一昨年の猛暑の日でした。遠征先の現場で7時間ぐらい屋根の上で作業をしていたのですが、体調が悪かったのに午後から休憩をとらずに頑張ってしまった。屋根から下りた途端、鼻血が出て、視界がきゅーと狭くなりました」
相馬さんは急いで水分を取り、休憩すると少し落ち着き、宿に戻った。
「その日の夜、近所の居酒屋に同僚と行きました。しかし食欲が全くなく、店で嘔吐(おうと)してしまいました」
その後体調は回復したが、「あれ以来、のどが渇く前に水分を補給したり、おかしくなる前に休憩をとったりするようになりました」。
都内在住の由利子さん(仮名・50代)は、ゴルフ中に体調不良になった。
「熱中症には十分気を付けていて、しっかり水分も取っていたのですが、途中から汗があまり出なくなり、体の中心が熱く、頭がぼーっとしてきたんです。歩いていてもふわふわしている感じ。クラブハウスに戻ったら、ゆでだこのような私の顔を見て夫が『やばい!』と思ったらしく、頭に水をかけて、首や脇下、太ももの付け根などリンパ節があるところに氷を当てて冷やしてくれました」