主将となった03年春のセンバツでは、準々決勝の花咲徳栄戦で、延長15回引き分け再試合を延長10回の激闘の末に制するという屈指の名勝負を演じた。

 社会人の東芝では、肘を手術するなど、苦闘の日々が続くなか、「地元の人や、応援してくれている人の存在ですね。みんながいるから、ここまで野球を続けていられるんです」(「平成甲子園」日刊スポーツグラフ)と周囲の励ましを心の支えにしながら、6年間の選手生活を全うした。

 最後に05年の準優勝投手、京都外大西の本田拓人は、バイクによるひったくりを繰り返したとして窃盗罪に問われ、13年10月に懲役2年8カ月の実刑判決を受けた。“スーパー1年生の転落”は、あまりにも残念な事件だった。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2020」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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