在京球団のスコアラーは米国代表で主軸を担うことが予想されるオースティンの名前を挙げ、「一番注意しなければいけない打者」と警鐘を鳴らす。来日2年目の今季は新型コロナウイルスの影響で来日が遅れたが、シーズン途中から4番に座り、打率.314、19本塁打、49打点をマークしている。
「オースティンは穴がない。変化球をうまくさばくし、速い直球にも振り負けない。何より普段対戦している日本人投手の特徴を把握しているのが厄介です。ヤクルトの守護神で活躍しているマクガフ、ソフトバンクの先発ローテーションで稼働しているマルティネスにも言えることですが、NPBの選手たちや球場について熟知している。彼らの存在は米国代表で大きな支えになるでしょう」
日本と米国は五輪、WBCなど国際舞台で熱戦を繰り広げてきた。06年の第1回WBCでは、2次ラウンド1組の日本-米国戦で審判の判定を巡り、大きな波紋を呼んだ。3-3の8回1死満塁で岩村明憲の左飛に、三塁走者・西岡剛がタッチアップからホームを駆け抜けたが、米国の守備陣が西岡の離塁が早いとアピール。二塁塁審が両手を広げて「セーフ」をコールしたが、米国代表バック・マルティネス監督の抗議を受けた球審のボブ・デービッドソンは判定を覆してアウトに。王貞治監督の必死の抗議も実らず同点のまま試合は再開したが、日本はサヨナラ負けを喫した。
東京五輪ではどんなドラマが繰り広げられるだろうか。米国が最大のライバルであることは間違いないだろう。(牧忠則)