ヒロインもいよいよ夢の実現へと本格的に歩き出したわけで、朝ドラらしいハキハキやキビキビといった感じが増していくかもしれない。都会が舞台でセット中心だからか、映像的にもモヤがうすれた。物語的にもそうなっていくのだろうか。
もちろん、今後ももどかしさや迷いへの誠実さをこのドラマは貫いていくはずだが、それでも時々、モヤが晴れたところも見たい。前出の「立ち直らねえ」や「迷うための時間か」だけではまだ足りない気がするのだ。
そういえば、7月15日の「日本人のおなまえ」(NHK総合)が「『おかえりモネ』コラボスペシャル」を放送。登米・気仙沼編の出演者である大島蓉子が、こんなエピソードを語った。
「1話目の放送が5月17日の月曜日で、天気が悪かったんですよ。でも夕方、すっごいきれいな虹が出たの。ダブルレインボー。私、写メ撮りましたもん」
そんな光景が劇中にももっと広がることを期待しつつ、この異形の朝ドラを最後まで見届けたい。
●宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など