絶対に落とせないのは初戦のケニア。身体能力が高く、組織的な戦術面でも近年は著しい成長を見せているが、日本にとってはまだ格下だ。まずは初戦でケニアを下して1勝をつかみたい。

 2戦目のセルビアには19年W杯で勝ってはいるが、このときは主力が不在だった。18年世界選手権を制したフルメンバーで来るセルビアに勝つのは現実的には難しい。3戦目のブラジルもネーションズリーグのファイナルラウンドで1セットこそ奪ったが、力の差はある。18年以降は6連敗していることを考えると、白星はかなり厳しいと計算した方がいいだろう。

 そうなると、突破の鍵を握るのは4戦目の韓国と5戦目のドミニカ共和国。韓国にはネーションズリーグでこそ3-0で完勝したが、いつも苦戦する相手だ。特に世界的エースのキム・ヨンギョンの決定力は脅威。ネーションズリーグでは不出場だったキム・ヒジンも五輪ではメンバーに入っており、苦しめられるだろう。ドミニカ共和国とは中田監督体制になってから4勝2敗と相性は悪くない。しかし、4勝のうち3試合がフルセットになっており、どちらに転んでもおかしくない試合ばかりだ。

 現実的な評価として、1次リーグは3勝して3位通過もあれば、1勝に終わって1次リーグ敗退の可能性もある。それが今の日本の立ち位置だ。

 さらにメダル獲得のためには1次リーグを突破した後の準々決勝で、激戦のB組を抜けてくる相手を破らねばならない。中国、米国、イタリア、ロシア・オリンピック委員会、トルコ、アルゼンチンの上位4チームとなると、どの国をとっても強く、難敵。日本にとって、メダル獲得には厳しい道と高い壁が待ち受けている。

 大会終了後、中田ジャパンは宣言通り伝説となることができるのか。戦いの火ぶたはまもなく切って落とされる。

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