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東京都の新たな感染者が7月28日に続き、29日も3865人となり、過去最多を更新した。都は29日、新型コロナウイルス対応のモニタリング会議を開き、1日あたりの新規感染者数(1週間平均)が8月11日に4532人に達するとの試算を公表。都内の感染状況について、「爆発的な感染拡大に向かっている」(専門家)と危機感を露にした。
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は29日、参院内閣委員会の閉会中審査で、首都圏を中心とした全国的な感染拡大についてこう警告した。
「今の最大の危機は社会一般の中で危機感が共有されてないことだ。危機感が共有されなければ、さらに感染拡大する。いずれ医療逼迫が深刻化する」
菅義偉首相は29日夕方から首相官邸で関係閣僚と対象地域などについて協議。埼玉、千葉、神奈川の首都圏3県と大阪に緊急事態宣言を再発出する方向、北海道、兵庫などへはまん延防止等重点措置を出す方向で検討している。期間は8月31日までが想定されている。
「これまで千葉、神奈川、埼玉県知事は、政府への緊急事態要請を出そうとして再三、協議してきました。しかし、西村(康稔)経済再生担当相に『その前に酒の停止とか、見回りとか、もっとやることがある』と要請を止められていた。千葉の熊谷(俊人)知事は相当、不満を募らせていました。また、五輪でマラソンがある北海道は7月20日、26日、29日と3回、政府にまん防を要請し、ようやく認められました。北海道の鈴木(直道)知事は元々、たたき上げ同士で菅首相との蜜月を全力アピールしていましたが、 政府への正式要請を何度も行っていたにも関わらず、『北海道としての対策をちゃんとやってないじゃないか』と言われ、スルーされ、コケにされ続けていた訳です。今回も政府はまた後手を踏む形となりました」(官邸周辺者)
全国的に感染は拡大する一方だが、「ゲームチェンジャー」として期待されるワクチンの不足は続いている。