――ウルフ選手は監督と同じ三冠柔道家となった。今後どんな存在になっていってほしいか。

 そうですね。試合前というか、直前ではないんですけど、練習や合宿のときに「おまえ、三冠狙える道にあるんだな」という話をしていたので、それを見事達成してくれた彼自身の戦いというものは、私自身誇らしく思いますし、私自身が現役のときと比較しても、これほど緻密にこれほど努力を重ねた選手はいないんじゃないかなと思うぐらい。まあ直接対決したらどうなっていたかわからないなと思うような素晴らしい選手に育っているんではないかなと思います。

――決勝は我慢の戦いだった。勝ち切った勝因は。

 初日から言えることだと思いますが、いかに今大会において粘り強く我慢強く戦っていくかというところが非常に大事なポイントでありましたので、ウルフの強さのひとつというものは、みなさんご存じのとおり、我慢強さというか、接戦になればなるほど彼自身の力が発揮される、それが彼の大きな強みではないかなと思います。そこは戦術面で十分に頭に入れた戦いでありましたので、それをしっかり試合で出したことの勝利だと言えると思います。19年(世界選手権準々決勝)では敗れていましたから、そこから非常に対策を練ったうえで準備していた。それが出た試合だったなと思いました。

――個人戦は明日が最後。人生の集大成というところにおいて、重量級の再建と言う意味での最終決戦。原沢(久喜)選手(29)にはどういう戦いを期待したい?

 これまでの過程においてはそういう言葉を使わせてもらった部分がありますけど、なにしろ原沢がここまで、彼も努力、誠実に実直にひとつひとつさまざまな経験をしながらここまでたどり着いた選手だと思います。そのすべてを明日出してもらえるように、しっかりサポートしていきたいなという風に思います。

(編集部・深澤友紀)

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