まずは筆記用具。黒ではなく、青のインクを使ってみよう。文字の色で与える印象がずいぶん違うという。
「筆記具は万年筆やにじむ風合いのゲルインクのボールペンで、インクの色は青がオススメ。黒よりも明るさを感じさせ、女性なら爽やかさ、男性なら誠実さを演出できます」
書き方のコツは、文字を大きめに、元気良く、を意識する。ただ、ハネとトメはしっかり丁寧に書く。漢字とひらがなのメリハリをつけ、読点「、」と句点「。」の配置にも気を配る。
文字がびっしりの手紙より、余白をもたせた文面のほうが読みやすい。ひとつの文はできるだけ短くまとめ、一行目の半ばで文章が終わったら新たな文を続けて書かずに改行しよう。
「文章を書いているうちに文字列が曲がってしまうという人は、罫線が入ったタイプの一筆箋を使うと良いでしょう」
■ 一筆箋の極意まとめ10カ条
ほか、間違えたら修正ペンやテープは使わず書き直すことなどもポイント。以下に10カ条をまとめたので参考にしてほしい。
●相手の氏名や所属は、旧漢字も含めて正確に表記
●一筆箋では文頭を一文字下げる必要はなし
●文字はやや大きめにハネとトメをしっかり書く
●読みやすさを大切に、ひとつの文章はなるべく短めにする
●漢字とひらがなのバランスを考え、文にメリハリをつける
●文面の基本構成は「あいさつ」「用件」「結び」
●結びの言葉は「次につなげる」「気遣い」「相手の幸せや発展を願う」
●敬語は正しく使う
●書き間違いには修正ペンやテープは使わず、一から書き直す
●受け取る相手に喜んでもらえる手紙を自分も楽しんで書く
一筆箋にはさまざまなデザインがある。文具店やミュージアムショップではコレクター心をくすぐられるようなアート色の強い図柄もあり、選ぶのもまた楽しい。
「開運をイメージさせる富士山や宝船などの縁起物、季節の花のワンポイントも喜ばれますね。オフィシャル色が強いのは白地に罫線などのシンプルタイプですが、気軽にやりとりできる間柄なら、ネコ好きの人にはネコ柄、音楽好きには音符モチーフなどの一筆箋に日頃の感謝をしたためてみてください」
人と人をつなぎ、可能性を広げてくれる一筆箋のススメ。気軽に持ち歩いて、手書き習慣を身につけてみてはどうか。(取材・文/スローマリッジ取材班 山本真理)
<取材協力>
むらかみかずこ 一般社団法人 手紙文化振興協会 代表理事。企業研修・セミナー、講演を多数行ない、心が通じる手紙の書き方や仕事で成果につなげる文章術を広く社会に発信。通信講座教材の開発・運営も手がける。全国各地に手紙の書き方講師を育成。『お客の心をつかむ!売り込みゼロの3分ハガキ術』(日経出版)、『一生使える、一筆箋の美しいマナーと言葉』(PHP研究所)他、著書・監修書多数。毎日放送「プレバト!」一筆箋講師、NHK Eテレ「まる得マガジン」心が通じる一筆箋講師。監修レターセット「そえぶみはがき箋」好評発売中。