「母のとある宗教への信仰と今回の件は、似ていると思います」と書かれていますが、僕はずっと陰謀論とカルト宗教に「ハマる」人は似ていると思っています。

 そして、だからこそ、じーこさんの相談に、うまくアドバイスできるだろうかと心配しています。

 僕は昔、友人を奪おうとするカルト宗教と戦ったことがありました。

 僕が大学生の時は、カルト宗教と名乗らず、一般的なふりをしたサークルが大学にはありました。

 映画を鑑賞して話し合うとか、ハイキングに出かけてレクリエーションを楽しむ、なんていうサークルです。そして、徐々に親しくなって、少しずつ「真理に興味ある?」「世界の本当の姿を知りたくない?」「本当の幸福について考えたことある?」と誘導していくのです。

 やがて気がつくと、カルト宗教独自の世界観にどっぷりとハマって、この世界は間違いだらけで、でも人々は本当の姿に気付いてないと思い込むようになります。

 そして、「真実」を知った自分は、一刻も早く多くの人々に伝えなければいけないと信じるようになるのです。

 ね、じーこさん。陰謀論を信じる人ととても似ていると思いませんか?

 カルト宗教にハマる根本の原因は淋しさや不安で、それは陰謀論も同じだと僕は思っています。

 そして、さらにのめり込む理由は、「使命感」と「充実感」です。

 自分だけが知っている真理を世界の人々に伝えなければいけないという「使命感」と、活動を続けることで信者・仲間を獲得するなど、なんらかの手応えによる「充実感」が、カルト宗教と陰謀論を信じ続ける動機だと僕は思っているのです。

 自分だけが知っている「世界の真実」を他人に語る時、「使命感」と「充実感」を感じ、ずっと苦しめられていた淋しさや不安、空しさは消えていきます。

 ですから、冷静な論理的説得は意味がないのです。

 僕は、カルト宗教にハマった友人に、必死で調べた「教義の論理的矛盾」や「教祖のスキャンダル」「集められた金の行方」を話しましたが、友人を説得することはできませんでした。

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