■世界王者も陽性で欠場
都内で感染者が急増している中、国際オリンピック委員会の広報部長は「パラレルワールド」と述べ、五輪とは無関係と強調した。それでも大会関係者の感染は7月30日までに累計220人。陸上男子棒高跳びで19年世界選手権王者のサム・ケンドリックス(28)=米国=が欠場するなど競技にも影響が出ている。
猛暑も大きな問題となっている。五輪が開幕した23日から30日まで、東京では2日間を除き、最高気温は32~34度台。アーチェリーでは23日の試合で女子選手が熱中症で倒れた。
AP通信によると、28日のテニス男子シングルス3回戦では世界ランキング2位のダニール・メドベージェフ(25)=ROC=が審判に「死んだら責任が取れるのか」と詰め寄ったという。午前11時からの試合だった。同日の女子シングルス準々決勝でもスペインの選手が体調不良で途中棄権した。選手たちから夕方からの試合開催を求める声が上がり、29日以降の試合開始時刻は午前11時から午後3時に変更された。
暑さ対策としてマラソンは札幌で午前7時にスタートすることになったが、野球も半数近くの試合が正午開始。サッカー女子決勝も午前11時からだ。炎天下での試合を強いられる選手を見ていると「アスリートファースト」の言葉が空々しく響く。
各会場の自動販売機で買える清涼飲料水の価格にも驚かされた。500ミリリットルのペットボトルが300円。街中の価格の約2倍だ。コーラを買っていた米国の男性カメラマンに話しかけると、「米国の約2倍もするから日本は物価が高いと思ったけど、違うんですね」と苦笑いしていた。(編集部・深澤友紀)
※AERA 2021年8月9日号