「対馬容疑者は通報した食料品店の女性を襲撃しようと店に引き返そうと考えたが閉店していると考え、乗り込んだ電車内での犯行を決めたという趣旨の供述をしている」(前出の捜査関係者)

 電車内での殺傷事件は過去にも例がある。2018年6月には東海道新幹線の車内で男が鉈で男女3人を殺傷し逮捕された。事件を受けて国土交通省は手荷物検査について、これまで法令の定めがなかったため、省令を改正。「手荷物等の点検を行うことができる」という規定を新たに設けていた。しかし、大規模イベントのある際の主要なターミナル駅や新幹線の駅などに限定する運用だったために今回のケースには該当しなかったようだ。

 こうした事件は防ぐにはどうすべきなのか。テロ事件に詳しい警視庁関係者は言う。

「今回の事件は刃物による無差別殺傷事件につながりかねない大事件だった。いわば『刃物テロ』だ。こうしたテロはいつでも起こりうると我々ひとりひとりが心のどこかで警戒しておくべきだ。不審者を見かけたら空振りでも構わないので駅係員、警察に迷わず通報してほしい」

 更にこうした場面に遭遇した際に私たちはどう行動すべきなのか。

「まず、無理に手出しをすることは絶対にしてはいけない。犯人は興奮状態にあり普段以上の力を発揮できる状態にある。刃物を手にしている犯人から襲撃されたら、とにかく少しでも良いので距離を取ること、つまり逃げることだ。他の大勢の客への被害を防止するために『刃物!刃物!』と叫び注意喚起しながら逃げること。至近距離で襲われた場合は所持品で徹底抗戦するべきだ。とにかくカバンやリュック、傘など所持品を盾にして攻撃をブロックする。その際にも顔面などに刃物が届かないように腕を伸ばして距離を取ることが大事だ」

 警視庁は東京五輪期間中の刃物による重大な殺人未遂事件として、成城警察署に特別捜査本部を設置して事件のいきさつを詳しく調べている。
(野田太郎)

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