林氏支持の6人の市議の中には他にも、菅氏の元で秘書を長年やっていた議員もいる。菅氏の地元の「応援団長」と呼ばれている市議もいる。この状況について、野党の市政関係者はこう指摘する。

「菅さんは小此木さんの支持を表明する一方で、菅さんに近い元秘書らの側近市議を林陣営の応援にまわらせている。小此木さんが勝っても、林さんが勝ってもどちらでもいいように二股かけているのではないか」

 この見方を、山本市議は真っ向から否定する。

「菅先生からは電話もないし、止められているわけでもない。菅先生のことは今でも大好きだし、尊敬しています。この件については、菅先生に歯向かう形になるけども、私らに対して、『止めておけ』と言われないのは『お前らの気持ちもわかるぞ』ということ。『IRは俺も含めて夢だからな』と思っておられるのではないでしょうか。私らは自民党を割って、反逆児みたいに思われているのかもしれませんが、街頭では堂々とお話したいと思います。林さんを勝たせる努力をします」

 この混沌とした状況に拍車をかけるように、関係者の間では怪文書が週刊誌にリークされるなど、さまざまな情報が乱れ飛んだ。菅氏、自民党側だけでなく、週刊誌「FLASH」は立憲候補の山中氏のパワハラ疑惑を報じたが、山中氏は「記事内容は臆測をもとに事実無根の内容を記載した」と抗議している。水面下では、選挙前から「情報戦」が繰り広げられているのだ。

 はたして、乱戦を制するのは誰なのか。横浜市政に影響力が強い「ハマのドン」こと、藤木企業の藤木幸夫会長(90)は8月3日、都内の日本外国特派員協会の記者会見で持論を展開した。

「みんな私のところへ来て、オレ出たい出たいって言っていたんですよ……田中康夫もこの間来て、港が付いてくれればオレはいけるんだという。みなさんが藤木の言うことを聞くとおっしゃってくれているんだと。それはありがたいことだけど、今度はもう江田(憲司)に任せた」

 江田氏は立憲民主党の代表代行。その江田氏が藤木会長のところへ山中氏を連れて行ったという。

次のページ 「誰も本気でIRをやめようとは思っていない」