菅氏は7月29日発行のタウン誌で小此木氏と対談し、全面的な支援を表明。すると、翌30日には小泉進次郎環境相も「小此木さんが勝つために、自分ができることは何でもやりたい」と追随したが、横浜の地元議員は混乱を極めた。

 自民党横浜市連の市議36人中の30人は「小此木支持」でまとまったが、残りの6人は「林支持」にまわった。結局、自民党は分裂状態となり、市連では自主投票を決めた。

 林氏の支持を表明した山本尚志(たかし)市議は、2008年から2年間、菅氏の公設秘書だった人物。いわば菅氏の側近中の側近だが、なぜ「林支持」にまわったのか。山本市議はその理由をこう話す。

「私は、2019年8月に林市長がIR推進にかじを切ったことを支持しています。横浜の経済成長の中心は、環境産業と観光産業なんです。私が公設秘書をしていたころ、菅先生は『地方分権改革』ということをよく言っていた。東京に一極集中するのではなく、国から地方に税源、財源、権限を移譲する必要があると。その菅先生肝いりの観光戦略がIRであり、自民党も進めてきたわけです。横浜も地方都市の代表としてIRを進めないと、企業誘致もできない。アフターファイブの遊び場をもっと作らないと、東京に全部取られてしまう。IRというのは横浜の成長戦略の目玉なんです」

 一方で、菅首相が支持を表明している小此木氏はIR誘致反対を主張していることはどう考えているのか。

「小此木さんは県連会長だったし、周囲からは『小此木さんを応援しないといけない』と言われました。でも、自民党の市会議員はIRについて多くの時間をかけて議論を重ねてきた。だからこそ、私たちは『IRの旗を降ろすわけにはいきません。小此木さんを推薦できません』と反対したんです。市連の幹部の方々もIR誘致で一緒に汗をかいてきた。ここまで来たのだから、IRをどうしても実現したい議員もいるんです。それゆえ自主投票になったわけです。もし、小此木さんがIR賛成だったら乗れましたが、反対だと言われたら無理ですよ。IRを実現するには林さんしかいないから応援するのです」

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